信用ならないボルドーの格付け?

ワインの宣伝文句で、「これは格付け2級」「こちらは特級シャトー」です、といった表現を見たことや聞いたことはないでしょうか。
もちろん格付けが上ならば、うまい、高級、ということになっているんです。
しかし、この格付けですが、実はあまり信用できないというのはご存じですか?

格付けワインだとといわれて買ったのに・・
値段は高いのにぜんぜんおいしくないじゃないか・・

とならないように、「格付け」のカラクリをお教えします。

格付けは1級から5級まで


フランスのボルドー地方のワインには、1級から5級までの格付けがされています。
この格付けですが、どのような制度かみなさんご存じでしょうか?

「ワイン専門家の投票かなにかがあって決めているんでは?」
「ワインの業界団体のなかで決めているのでは?」

違います。
では、この格付け、どのくらいの頻度で見直しされているのか知っていますか?

「1年に1度見直しがあるのでは?」
「3年に一度くらい?」

いずれも違います。
正解は想像を絶するものです。

1級に値するといわれている銘柄

つぎのワインは品質面や、安定度などから、1級に匹敵する品質であるとされたワインです(ロバート・パーカーによる評価)。参考までに。
アンジェリス
オーゾンヌ
シュバル・ブラン
コス・デストゥルネル
デュクリュ・ボーカイユ
レグリーズ・クリネ
レヴァンジル
レオヴィル・ラスカーズ
ラ・ミッション・オーブリオン
モンローズ
パルメ
パヴィ
ペトリュス
ル・パン

 

信じられない格付けの実態


なんと、この格付けは、1855年にフランス政府が万国博覧会にあわせて作ったモノなんです。当時のボルドーのシャトーのなかから価格を中心に61のシャトーを選んで、1級から5級までの格付けをおこないました。

1855年といえば、日本はまだ江戸幕府の時代です。リンカーンが奴隷解放宣言を出す8年前です。ナポレオンがセントヘレナへ流刑になってから、わずかに40年しかたっていません。要するにとてつもなく古いということです。その制度が未だに生きているのです。

江戸時代に作られた制度がいまだ生きているというのも驚きですが、さらに唖然とするのは、格付けの見直し頻度です。

驚かないで下さいよ。
1855年からすでに150年の時が過ぎました。
10年の時ですら長いといわれる現代の感覚からすると、150年というのはとてつもない時間です。
その間、格付けの評価換えが行なわれたのは、なんと、たった一度!!なんです。
(1973年にシャトームートンが2級から1級に見直された時)

いくらフランスの制度とはいえ、開いた口がふさがらないとはこのことです。
150年前にきめられて、一度しか見直されてない評価が、21世紀の今になっても神格化しているわけです。その格付けを引用して「このワインは3級だから~」と語るのは如何に意味がないことでしょうか。
江戸時代のガイドブックをもって、現代の東京を旅しているようなものです。

 



では全く参考にならないのか?

では、格付けは全く参考にならないのでしょうか。
ボルドー1級はたしかに19世紀から現在いたるまで一貫して最高の品質で、その格付けにふさわしいワインを生産しています。しかしながら2級以下では、疑問を呈したくなる銘柄がまざっていることもあり、昔の栄光はどこへやらというワイナリーも存在します。もはや150年前の話なのですから、時代がたつにつれ、オーナーも変わりますし、単純に怠惰や無能によって、その格付けを反映しているとは思えないほど凡庸なワインを生産しているところもあります。反対に、格付けがされていなくても、毎年高品質のワインを生産しているシャトーもあります。

格付けワインだからといって、単純に品質がよいと思うのは間違いです。
ワインというのは1本一本違う味のする飲み物です。

ワインを購入するときは、格付けではなく、「どの生産者」の「どの銘柄」の「どの年」のワインか?を問わなければ、参考になるとはいえません。できの悪い年の1級よりも、できのよい年の2級のほうがよいこともあります。
ワインノートでも、世界のワイン3000本以上の評価検索ができますので、これらの評価を参考にしていただければと思います。

格付けにとらわれず、先入観を持たずに、自由にワインの世界をのぞいてみれば、ワインの世界はもっ広がると思います。

参考)ボルドーの格付け一覧を見る